個人再生における重要書類について
個人再生の申立て(※1)にあたって、添付書類として多くの書類の提出が求められることとなります。本記事では、その中でも特に重要な書類である【預貯金通帳】、【給与明細などの収入を証明する書類】についてまとめました。
※1)東京地方裁判所など、申立後に速やかに追完すれば足りるとしている裁判所もあります。
重要書類①(預貯金通帳)
個人再生の申立てにあたって必要な書類は、管轄の裁判所によって多少異なることもありますが、このうち、預貯金通帳(銀行口座の取引履歴)はどの裁判所によっても求められる重要な書類となります。
そもそも個人再生とは、借金の6~8割程度をカットし、残った借金を3年~5年の分割払いをすることで、債務者の負担を減らしていこうとった制度となります。ただ、カットできるといっても上限があって、債権者保護の観点から返済しなければならない最低の返済額が定められており(民事再生法231Ⅱ③④参照)、また、債務者が保有している財産の価値以上は返済に回さなければならないとされております(清算価値保障原則)。
個人再生の申立てにあたって、預貯金通帳を提出しなければならないのは、上述したように保有している財産の価値を算出(計算)するためといった理由からとなります。また、預貯金通帳の取引内容を見て、”財産隠し”をしていないのか、個人再生申立提出書類のうち、債権者一覧表に記載のない債権者がいないのかなど様々な情報を確認されることとなります。場合によっては、裁判所に選任されることのある個人再生委員(裁判所を補助する機関)に「この取引はどういった内容の取引であるのか」など詳細に聞かれることもあります。
重要書類②(給与明細などの収入を証明する書類)
給与明細などの収入を証明する書類も重要です。個人再生の要件である「再生債務者が継続又は反復した収入を得ているのか」の確認のほか、給与明細上、例えば生命保険に加入していないのか、勤務先等から給与の一部を天引きされていないのかなど様々な情報が確認されることになります。
生命保険料が給与明細から控除されていることがわかった場合→その生命保険につき解約返戻金があるのかなど調査をする必要がございます。解約返戻金は財産とみなされるため、上述した清算価値保障原則を考慮する際に必要な情報となるからです。
勤務先等から給与の一部を天引きされていることがわかった場合→早い段階で給与天引きを辞めるようその停止を申し出るといった対応が必要となります。そもそも法律上は、特定の債権者に返済をするというのを禁止しているところ(民事再生法85Ⅰ)、その程度が軽微といえないときは、再生計画不認可の決定がなされることがあるため細心の注意が必要です(民事再生法174Ⅱ①)。
なお、給与明細については、直近2ヶ月分を提出することとなる裁判所が多く、その他にも源泉徴収票であったり、課税証明書などが必要な書類とされております。よく、ご家族に内緒で個人再生の手続きをされたいとご希望されている方もおりますが、同居人(配偶者など)に収入があれば、その方の収入を証明する書類を提出することとなるため、それが理由でバレてしまう可能性もあります。
終わりに
近年では、通帳レスの銀行口座を利用されている方も大変多いとは思いますが、その場合には預貯金通帳に代わるものとして取引履歴を発行いただく必要があります。インターネット上でプリントアウトできればそれでいいのですが、そのプリントアウトができず、さらに銀行口座も多いがため中々取引履歴が集まらず苦労したケースが今までございました。
もし個人再生を考えている方がいる場合、上記のケースを想定して使用していない銀行口座は解約するなど、申立に至るまでの苦労を最大限減らしていただくのがよろしいのではないかと思います。